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第20回放送 君がいた、長くて短い299日

出演:ナカちゃんを語り継ぐ会 会長 吉岡真理さん
庄野孝子さん

 今から7年前の2005年11月2日、阿南市那賀川の中洲に突然現れた一頭のアゴヒゲアザラシ。愛嬌のある仕草とつぶらな瞳から、誰が決めたわけでもなく自然と「ナカちゃん」と呼ばれるようになりました。
その後、連日ナカちゃんのニュースが取り上げられ、いつもは静かな那賀川には県内外からナカちゃんを一目見ようと訪れた見物人や、カメラを待ったマスコミ関係者で大賑わいとなりました。

その期待に応えるように、だんだん出没する回数が増え、「ナカちゃ~ん」と声をかけるとこちらに悠然と泳いできたり、中洲でひなたぼっこをしながら、愛くるしいポーズを見せてくれるようになりました。
翌年、冬が過ぎ、春が訪れてもナカちゃんの人気は衰えるどころか、ますます注目されるようになりました。もう誰もが認める那賀川町のアイドルとなっていました。

しかし運命の日はやってきました。8月27日那賀川町の夏祭りの夜、ナカちゃん音頭を踊り終えた直後、なんとナカちゃんの訃報が届いたのでした。

突然のアイドルの死に悲しみに暮れたみなさん。祭りの終演を告げる花火は奇しくもナカちゃんを弔う花火となり、ナカちゃんは那賀川の川面に、あの日の流れ星のように消えてゆきました。その夜の光景はまるで映画のワンシーンのようだったと振り返る吉岡さんの夢は、いつかナカちゃんを主人公にした映画を制作したいと考えています。

ナカちゃんの出現は多くの人と人を結びつけました。その絆は今でも歌となり、モニュメントとなり、メモリアルイベントとなって受け継がれています。

これからもナカちゃんが299日過ごした那賀川の風景を守り続けたい。ナカちゃんを通して生まれた地域の人と人との絆を大切にしていきたい。

「ナカちゃん、たくさんの宝物をありがとう…」

今も吉岡さんたちの心の中にはあの日のナカちゃんの姿が息づいています。