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第7回放送 蔵元と高校生が醸した大地の夢

出演:三芳菊酒造 社長 馬宮亮一郎さん

 吉野川の上流に位置し、北は阿讃山脈、南は剣山系の連邦に抱かれた三好郡池田町にある三芳菊酒 造は創業明治36年の酒蔵です。社長兼杜氏の馬宮亮一郎さんが、徳島県立三好高校の食品発酵コース 醸造専攻の生徒たちに酒造りを指導し始めたのは平成20年、今年で5年目になります。

日本の食文化には欠かせない日本酒ですが、近年では需要も生産も急激に落ち込んでいるのが現状 で、馬宮さんをはじめ全国の蔵元さんは危機感を募らせています。そんな日本酒の製造工程は大変複雑 で、原料となる良質の酒米(さかまい)や水を確保するのはもちろんのこと、長年培ってきた蔵独自の技や技 術によって味は大きく違ってきまます。

季節と寄り添いながら、複雑な工程を重ねて行く日本酒造り。生徒たちは夏頃から馬宮さんの元に通っ て酒造りを基礎から学び、蔵で行われる作業を実際に見て、体験しながら12月の初搾りの日を迎えます。

実際に生徒の手で絞って瓶詰めされた日本酒は「大地の夢」と命名されて発売されます。瑠璃色のボト ル、三好高校の書道の先生による躍動感あふれる文字。そしてこの酒造りに関わった3名の生徒を表現し たホップなイラスト。どれをとっても日本酒のイメージとはほど遠いモダンな印象を受けます。残念ながらア ルコールを試飲できない彼らは色や香りで、自分たちが醸したお酒の味わいをイメージし、成人を迎えて試 飲出来る日を楽しみにしています。

この4年間、酒造りを通してたくさんの生徒たちやその家族、そして先生とも交流ができたという馬宮さん。 三好高校の生徒と地元の蔵元のコラボレーションによって誕生した「大地の夢」は、生徒の家族だけでは なく、今では地元の人はもちろんのこと、県外に就職したOBたちの間でもふるさとの地酒として飲まれてい るようです。

やや辛口でありながら、ふんわりと米の旨味が広がる「大地の夢」は、三好高校の生徒たち、指導する先 生、蔵を提供する馬宮さん、そしてそれを見守る地元の人たちの絆が醸し出した、正真正銘の地酒と言える のかもしれません。